整備

インジェクター周りとシリンダーヘッドの修理

前回、FIランプが点灯している問題をブエノス・アイレスで修理しようとしたら断わられた話をしました

私が所有しているHONDAのXRE300は日本では販売されていないブラジルのモデルです

つまり、ブラジルの整備士なら修理できるだろうと考えました

現在の症状

FIランプが常時点灯しており、アイドリングが高いです

問題点

〇インジェクション(青)…ガソリンの噴射

〇アイドルスピードセンサー(緑)…回転数のコントロール

〇センサーマップ(紫)…エンジンの制御

このどれか、または複数が壊れていると推測しましたので、これらの部品をブラジルで購入しました

部品は揃ったので、自分で交換できそうか見てみます

これがアイドルスピードセンサー

まあ、外せなくはないけど、ミスったら終わりだし持って帰れなくなる事を考えて、整備工場を探します

走行距離が50,000kmを超えたので、ついでにエンジン内部もチェックしてもらいます

整備工場へ

さて、現在はウルグアイアナ

この後は、サン・ボルジャを通ってアルゼンチンのイトゥサインゴに行く予定なので、ウルグアイアナとサン・ボルジャの両都市でいくつかの整備工場に連絡をしてみました

10軒以上ワッツアップにて連絡をしましたが、返事があったのは3軒のみ

数回やり取りをした中で、一番信頼がおけそうな整備工場(いる場所から近かった)に持って行きました

事前にメッセージのやり取りをしていたので、メカニックは状況を把握していました

私は部品を既に持っていることを伝えて、エンジン内のチェックも含めての価格を尋ねたところ、R$700、約18,900円と言われました

まあ、エンジンのチェックも含めると日本でもそれくらいの値段なので承諾

バイクを置いて帰りました

メカニックからの連絡

次の日にメカニックから連絡がありました

「見てもらいたい箇所があるから来てくれないか」

整備工場に行くと、「シリンダーヘッドにクラックが入っている」と言われました

確認すると、狭い箇所で見づらかったのですが、確かにスパークプラグの差し込み口が割れていました

これを交換するか、このままチェックをしないでおくかの二択となりました

今後まだ8万kmほど走る予定だったので、迷わず交換を選択

新しいヘッドを購入するという事で帰宅しました

これは外した後ですが、実際にクラックが確認できる写真です

真ん中のスパークプラグの左右に線が入っています

部品を購入する

早速いつものサイトで調べました

なるほど、これを全部変更する必要があるようです

型番から商品を検索

OK、これね、HONDAの正規品でもあるし、型番も間違ってない

ということで購入しました

価格はR$1.420、約38,000円

リオ・グランジ・ド・スーウはブラジルの南端なので、商品が届くまで基本的に1週間必要です

とりあえず待ちます

届いたが…

さて、商品が届きましたが、これはクラックが入った商品と同じものです

そりゃそれを頼んだからそうでしょうと思ったでしょ?

実はこれが届く前に、シリンダーヘッドについての問題を調べていました

すると、XRE300にはこの問題報告が多数あり、HONDAも認識

シリンダーヘッドは2016年モデルから解決されたとの記載を見つけました

そして、これはその問題が解決されたモデルなのかと思っていましたが、どうやら違ったようです

念のため、整備工場に持って行って確認すると、「これに付け替えても問題ないよ」とメカニックに言われましたが、これだとまたそのうちクラックが入ってしまうので、再度交換しないといけなくなります

ですので、申し訳ないと思いつつ、メルカドリーブレにて返品手続きをしました

その際、「タブレットが必要だから購入してね」と、追加で購入する部品がある事を聞かされました

まずは解決された商品を探す

さて、まずは割れ問題が解決されたシリンダーヘッドを探す必要があります

同じHONDAの部品検索にて、問題が解決された2016年以降、2017年モデルの型番を調べてみました

確かに型番が変わっています

2013年モデルでは、12010-KVK-B20でしたが、2017年モデルでは、12010-KWT-D20となっています

変更された大きな違いは、スパークプラグを細く、長くして、クラックが起こらないようにしたとの事ですので、スパークプラグの型番も調べてみます

2013年モデルでは、31907-KVK-B21

2017年モデルは、31907-KWT-D21

ネットで商品を検索してみます

まずは、2013年式の31907-KVK-B21

そして2017年式

明らかに細さと長さが異なります

つまりこのシリンダーヘッドで間違いないという事です

適合するか

あまり情報がないのですが、メルカドリーブレなどの販売サイトでは、2010年以降のモデルにも対応しているとの記載があることも多く見かけます

しかし、ラテンアメリカの販売者の言うことを全面的に信用してはいけません

ですので、2013年モデルと、2017年モデルで、インジェクション周りの商品の型番を全て見比べてみる事にしました

2013年、2017年どちらのモデルでも、シリンダーヘッドに接続するシリンダーコンプなどの型番は同じでした

つまり適合しているという事です

ただし、一つだけ気がかりな点があります

2番のカムシャフトの型番が異なります

これも探してみました

R$430、約11,500円ですが、在庫切れです

交換する場合は、2つセットの方が良いので調べました

価格はR$603、約16,000円です

これはちょっと高い

ちなみに、2017年式のシリンダーヘッドの価格は、R$2.150、約58,000円

できればカムシャフトは現在のものを利用したいです

悩んだ結果

情報が少ない中、問題について解説している、ブラジルのYouTubeなどをたくさん見ましたが、シリンダーヘッドの交換の話はあっても、カムシャフトについて話をしている方がいらっしゃらなかったので、適合するとの望みをかけて購入を見送りました

とりあえずシリンダーヘッドのセットを購入

梱包は丁寧でした

HONDAの正規品ですが、バリが目立ちます

後にこれをメカニックに「これって偽物じゃないよね?」と聞いたら、

「ほら、ここを見て。ブラジル製って書いてあるでしょ?そういうことだよ」と言われて納得してしまいました

持っていたスペアのスパークプラグと付属していたスパークプラグを比較してみました

以前比較した情報で間違いありません

これで問題ないので、このシリンダーヘッドを組み込んでもらいます

タブレットについて

さて、返品したシリンダーヘッドを持って行った時に購入するように言われたタブレットがこれです

バルブパッドというそうです

初めて聞いたので、調べてみると、

バルブとカムシャフト間のクリアランスを調整します

と書いてあります

どうやら12番がその部品です

エンジンがピストン運動する時に、パワーを最適に発揮する為には、カムシャフトとの間に適切な間隔が必要との事です

番号が厚みとなり、その種類はたくさんあるのですが、これは組み立ててからでないと必要なタブレットの厚みがわかりません

メカニックに確認すると、「200番を4つオーダーしてほしい」と言われたので、念のため200番を4つだけでなく、190番、198番、208番もオーダーしておきました

これらを持って行きます

整備工場へ

さて、シリンダーヘッドを持って行きました

これで問題ないよとの事

3日待ちましたが音沙汰がない為確認しに行くと、「明日」と言われました

ラテンアメリカの「明日」は、「明日にできる」ではなく、「明日にならないとわからない」という意味なので注意が必要です

私は、次の日の午前中に確認したところ、「午後」と言われました

そして、昼に、「14時30分に、208番のタブレットを持って来て」と言われました

別途購入しておいてよかったです

ウルグアイアナではシエスタがある為、昼は14時30分から始まります

「本当に今日終わるのか?」と思っていましたが、17時に終わったと連絡がありました

確認する

まずは、FIランプ問題が解決しているかを確認します

解決しています

そして、アイドリングも低い値で安定しています

少し走ってみないとハッキリわかりませんので、問題がある場合は直ぐに戻ってくる旨を伝えてお会計をします

話が違う

最初に聞いていた金額はR$700、約18,900円でしたが、請求額はR$1.270、約34,000円です

内訳を確認したところ、「シリンダーヘッドの交換費用は最初の金額には入っていない。交換料金はR$500。残りのR$70はオイル交換代だ」と

私は最初に「シリンダー内部のチェック」もオーダーしていたので、それも料金に含まれていると思っていました

そして彼からは交換の際に別途かかるという費用を聞いていません

シリンダーヘッドを交換した場合、オイル交換もする必要があるので、それはオーダーしました

インジェクション周りのパーツ交換とチェーン交換でR$700はかなり高価です

やられました

ここはラテンの国なので、新しく何かを追加する度に全ての料金を確認すべきでした

これは不覚にも私のミスです

走行確認

この次の日、1日で長距離を走行する予定だったので、まずは近場を10km程度走ってみました

アイドリングが低くなっている為に、以前とはクラッチの使い方が多少異なります

まだエンジンが馴染んでいないのか、低回転ではエンジンが少し辛そうにしていました

まあでも依然と比べて、4000回転以降の伸びが良くなりました

唯一心配していた、カムシャフトの適合するか問題も、今のところ影響はなさそうです

しかし、回転数が低くなったことで、信号待ちで止まるごとにエンストが起こるようになってしまいました

少し様子を見ます

車体チェック

明らかに色が違うので変な感じがしますが、アスンシオンに戻ったら洗車してみます

底に付着したタールも落とす必要があるからね

スプロケット周りも見てみます

以前はひどい状況でした

チェーンに注油もしっかりされており、良くなりました

これで安心して走行できます

他に起こりそうな問題を調べる

念のため、今後に起こりそうな問題を調べておきました

メインヒューズの破損

これは購入後すぐに発生したので、ヒューズのスペアを購入済みです

シリンダーヘッドの過熱と亀裂 

これは今回改良品に交換したので、今後は起こりません

ノズルとポンプの欠陥

これも今回解決済みです

DENSOの燃料ポンプを持っているので、インジェクターの予備を購入しておきます

キックスタンドフレームの欠陥

構造上の問題で、キックスタンドが根元から折れる可能性があるそうです

これは困りました

センタースタンドがあるとはいえ、荷物を積んでいる時はサイドスタンドがないと困ります

どの街にも溶接屋があるので、ひとまず気を付けながら様子を見る事にします

以上が主な問題だそうです

ひとまずアスンシオンに戻って、バージョンアップさせます

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Dream Journey
南米の州都を中心に滞在しています 街から街への移動はバイク